AIエンジニアは将来性は?仕事の魅力・現実・キャリアパスを紹介
AI技術の著しい発展にともない、私たちを取り巻く生活や産業界の構造が大きく変化しつつあります。これら急速な変化を背景に注目されはじめた職業がAIエンジニア。特に、新卒で就活を迎える情報工学系学生の間では、AIエンジニアという職業に高い関心が寄せられていることでしょう。
当記事では、AIエンジニアに興味を持っている学生の皆さんに向け、仕事の魅力や現実、将来性などについて解説しています。
AIエンジニアに将来性はある?
結論から言うと、AIエンジニアという職業には十分に将来性があります。その主な根拠を4点ほどご紹介しましょう。
様々な業界でAI技術の需要拡大トレンドが進んでいるから
近年、AI技術は医療や金融、マーケティング、製造などの様々な業界へ急速に浸透し、現場になくてはならない技術となりつつあります。その需要拡大はとどまる気配がなく、内閣府の発表によると、少なくとも2030年まではさらに需要が拡大するとの見通しです。
需要が拡大する以上、その供給を支えるAIエンジニアの重要性はますます高まっていくでしょう。
そもそも需要に対してAIエンジニアの供給が追いついていないから
将来的にAIエンジニアの重要性が高まる、という見通し以前に、すでに現時点で、市場の需要に対してAIエンジニアの供給が追いついていません。日本国内の多くの企業で、AI人材の大幅な不足が課題となっています。大学等で情報工学系の知識を専門に学んできた学生の視点から見れば、非常に大きなチャンスがめぐってきたと考えることができます。
AIの包括的な知識・技術を持つ人材は希少だから
一部に「AIエンジニアは飽和状態」という見解も見られますが、正しく現場の状況を見る限り、この見解は誤りと言わざるを得ません。確かに、表層的な開発スキルに限定したフィールドであれば、AIエンジニアは飽和状態と見ることも可能でしょう。
しかしながら、AI技術をリードする企業の現場では、単なる表層的な開発スキルではなく、より高度なアルゴリズム設計やプロダクト実装、倫理的配慮など、包括的な知識や技術を持つ人材が求められています。このような人材は、まだまだ不足しているのが現状です。
そもそもAIエンジニアはどんな仕事?
AIエンジニアの仕事内容、仕事の特徴などについて見てみましょう。
人工知能を開発する仕事
AIエンジニアの仕事を簡単に言えば「人工知能の開発」。人工知能を搭載したアプリやシステムの設計・開発・運用がAIエンジニアの仕事になります。具体的には、チャットボットの会話ロジック設計、自動運転技術の構築、画像認識、自然言語処理、機械学習などを通じ、企業が抱える様々な課題の解決を支援します。
モデルの構築から実装まで担当
AIモデルの設計はAIエンジニアの重要な仕事の1つですが、モデルの設計だけではなく、モデルを動かすための実装作業もAIエンジニアの重要な仕事となります。具体的には、Pythonなどの言語を用いた機械学習アルゴリズムの実装などです。
データサイエンティストとの違い
AIエンジニアと混同されがちな「データサイエンティスト」との違いについても明確にしておきましょう。データサイエンティストとは、主に大量のデータ分析・統計処理などを通じ、課題の発見や意思決定の支援を行う人材のこと。一方でAIエンジニアとは、その分析結果をもとにAIモデルを開発し、実装へと導く人材のこと。データサイエンティストが考えてエンジニアが作る、というイメージになります。
チーム連携が重要
AIエンジニアの仕事に関して、「一人孤独に黙々とPCに向かっている」「同じエンジニア仲間と狭い空間で静かに仕事をしている」というイメージを持っている方がいるかもしれませんが、AIエンジニアの仕事は、決してそのように閉鎖的ではありません。
むしろAIエンジニアは、ビジネスサイドやデータサイエンティストなど、他の部署との関わりが非常に多い職種。チーム連携が大切になる仕事、と考えておきましょう。
AIエンジニアのキャリアパス
職種としての歴史が浅いAIエンジニア。先人がいないこともあり、将来のキャリアパスをイメージしにくい、と感じている方も多いでしょう。以下、現状の流れから想定できるAIエンジニアのキャリアパスについて、4つの段階に分けて見ていきましょう。
【初級段階】AIエンジニアとしての下積み期間
AIエンジニアとしてのキャリアのスタート段階では、主にデータ前処理や簡単なアルゴリズム改良などを担当。先輩エンジニアのサポートを受けつつ、PythonやTensorFlowなどのツールを使いながら、プログラミングやAIモデルの構築・評価などの実務経験を積みます。AIエンジニアとしての下積み期間となります。
【中級段階】プロジェクトの中核メンバー
下積み期間を経ると、次に中級段階としてAIプロジェクトの中核メンバーへとキャリアアップ。設計から実装・運用まで、プロジェクトを包括的に担う役割が与えられます。データサイエンティストとの連携、クライアントとの要件定義、AIによるビジネス課題の解決策の提案など、難度の高い業務も増えていきます。
【上級段階】スペシャリストかマネージャー
中級段階で多くの経験を積んだ後は、自分の専門性を高めるスペシャリストとして、または、チームを率いるマネージャーとしての道へと進むことになるでしょう。スペシャリストを選んだ場合、たとえば自然言語処理や強化学習などの高度な技術へ特化してキャリアを深めていく形となります。マネージャーを選んだ場合、AI技術者の視点を取り入れた経営人材として活躍していく形になるでしょう。
以下のページでは、AIエンジニアとして新卒で入社をし、現在活躍している方にインタビューしました。インターン・就活時代のエピソードや開発業務で大切なことを紹介していますので、経験者の声を参考にしながら、将来のキャリアを自分で切り開いていきましょう。
AIエンジニアとして成長するには環境選びが重要
AIエンジニアとして成長していくためには、環境選び(企業選び)が非常に大切なポイントとなります。環境選びが大事な理由、および、良い環境の条件を見てみましょう。
なぜ環境が重要なのか?
AI技術は日々アップデートされていくから
AI技術の開発スピードは非常に早く、「数か月前に大学で習ったことが今では古くなってしまった」という事態も多々起こります。知識やスキルが日々アップデートされる職種だからこそ、それに応じてスピーディーに学べる環境に身を置くことこそ、長期的なキャリア形成には不可欠な要素となります。
環境がスキルを育ててくれるから
新卒で入社した時点のスキルは誰しも未熟。その後の伸びしろは、「誰と働くか」「どんな仕事を任されるか」「どんなカルチャーで働くのか」等々、組織環境に大きく左右されます。とりわけAIエンジニアはチームから学ぶことの多い職種なので、理想的なキャリアパスを描くためには組織選びが大変重要になるでしょう。
良い環境の条件とは?
裁量がある
上司に言われたことだけを淡々とこなす環境ではなく、若手でも自ら意思決定や提案ができる環境であることが、AIエンジニアとしての成長につながる重要な要素。裁量の要素は、責任感や当事者意識、リーダーシップなどを学ぶためにも大変重要です。
技術的なチャレンジが多い
創造的な問題解決が求められるプロジェクトに参加できるなど、技術的なチャレンジが多い環境は、AIエンジニアの成長にとって大変重要です。未知の課題へチャレンジするからこそ、既存の理論では得られない応用力・実践力を習得できるからです。
ロールモデルとなる先輩がいる
実力と実績のあるエンジニアが社内に在籍しているかどうか、という点も重要な環境的要素です。常に優秀なAIエンジニアの近くで働くことで、その技術を学べることはもちろんのこと、通常の環境では得難い「思考法」や「設計思想」なども学べるからです。
失敗を許容する文化
AI開発には予測不能なことが多いため、いちいち個人の失敗を責めていては仕事になりません。逆に、予測不能な部分で失敗した事例を共有し、組織全体でのナレッジとして蓄積していく企業風土であることが理想的です。
アウトプット文化(技術ブログ、論文、登壇を奨励)
技術の理解を深めるためには、インプットよりもアウトプットを繰り返したほうが良いとされています。執筆や登壇、論文発表などの機会が多い企業であれば、AI技術の理解スピードも早くなり、AIエンジニアとしての成長も早くなることでしょう。もとより、論文等でアウトプットすることにより、社外からの評価も獲得できるため、自身のキャリアブランディング形成に直接役立ちます。
「どこで働くか」「誰と働くか」がAIエンジニアとしての成長のカギ
AIエンジニアは、未来社会を支える大変やりがいのある職種。将来性は非常に高く、今後ますます需要が拡大していく職種であることに疑いはありません。ただし、理想的なキャリアパスの形成を目指す上では、「どこで働くか」「誰と働くか」という要素が大切になることも忘れないようにしましょう。
以下のページでは、新卒でAIエンジニアを目指す方に向けて、会社の選び方や必須スキルなどのポイントを解説します。 AIエンジニアを目指している新卒の方は必見です。
