現職AIエンジニアが目指す
「社会実装」とは
AIエンジニアに今後求められる視点について、現役AIエンジニアのインタビューを通して『AI開発から社会実装』の観点から紹介します。

揉まれながら成長できる
HEROZでは、ダイナミックなAIの変化に対応するスキルを養いながら、次世代のAIエンジニアとして活躍したい若手を歓迎しています。
「AI革命を起こし、未来を創っていく」という理念を掲げ、専門性の高い“尖ったエンジニア”を目指せる職場づくりを徹底。開発・実装のスペシャリストが揃うHEROZでは、AI分野の最前線で挑戦し、成長し続けられる環境で、自らの可能性を伸ばしていくことができます。
社会実装とは?
社会実装とは研究で得られた知識や技術の成果を、実社会の課題解決に応用することです。では、AIの社会実装とは具体的にどのようなことを指すのか、ここではHEROZの実績を例に解説します。
実例:保険業務を
便利にするための生成AI
HEROZと保険業界大手MS&ADホールディングスは、2024年7月にAIを使って保険の業務を効率的かつ高度にするための取り組みをスタートさせました。
MS&ADホールディングスは前年7月にグループ全社員が生成AIを利用できる環境を整備したものの、大規模データの参照精度や、映像・画像データの取り扱いに関する課題を抱えていました。検証する中で、独自データに基づく追加学習や回答精度が向上。その成果として、QA形式のファイルをアップロードするだけで、ファインチューニングされたLLMやVLMを運用できるなど、MS&ADグループ独自の生成AIモデルが構築できるようになりました。
このような「AIで企業の課題を解決する取り組み」が、HEROZの社会実装の一例です。
(https://heroz.co.jp/release/2024/07/10_press01-2/)
社会に変革をもたらすHEROZの挑戦
HEROZは、産業にパラダイムシフトをもたらし、新たな未来に挑戦することを掲げています。AI技術によって『価値観や常識を変化させる』パラダイムシフトを実現することに挑んでいます。
その背景には、「社会実装」を意識した開発体制があります。HEROZでは、AIエンジニアとして技術力だけでなくビジネス視点が求められる理由はこのためです。
「AIエンジニア」の魅力
ここからは、HEROZのAIエキスパートH.Kさんに、AIエンジニアとしての社会との向き合い方や仕事の面白さなどを伺いました。

大学(機械工学科)在籍中に日本機械学会畠山賞を受賞。大学院では画像センサー関連のロボットの研究に取り組み、HEROZ入社後はリードエンジニアとして活躍。2024年に株式会社ポケモンと共同でデジタルカードゲームの対戦AI「Pokémon Battle Scope」の開発を担当。
AI技術は次々と新しい情報が更新され、社会実装についても最初から答えがあるわけではありません。実例にもあるようにAI技術をベースとした検証・テストを繰り返し、実用化に向けて進めるケースも多くあります。
私がBtoBといえるような仕事をするようになったのは、HEROZ入社後だいぶ経ってからでした。ビジネス視点でAIを考える際に意識したいのは、AIを使うこと自体は手段であって目的ではないということです。目的を達成するために役立つAIをつくれば使われるようになり、そこで初めて「社会実装」ができたことになります。
AIとの向き合い方は
変化するものでしょうか?
それはあると思います。実際にビジネス視点で取り組んでいても、良い製品になるかどうかはわからないことが多いです。学生時代と違う点は、「こういうものをつくれば、世の中でずっと使われる製品になるだろう」と、自分で考えなければならないシーンが増えることです。
仕事で成果を出すことを意識していれば自然と勉強するようになり、その積み重ねがエキスパートを目指す道につながると思います。ただ大事なことは、「しっかり成果を出すぞ」という気持ちのほうだと思います。
ことはありますか?
勉強と言えるような勉強をしているわけでもなく、発想のための時間を取るようなこともしていません。アイデアが出てきたときは考え込んだりもしますが、あえて考えるための時間を設けることはしていません。普段はニュースを見たり、興味を引くものがあれば調べたりする程度です。
課題を解決するアイデアは、必ずしも「課題をどう解決するか」と直接考えているときだけでなく、普段の仕事の中で「もっと効率よくできないか」「作業をもっと楽にできないか」「もっとクオリティの高いものをつくれないか」と考えているときにも浮かんでくるものだと思います。
「心構え」で大事なことを
教えてください。
例えば学生さんなら、「自分のほうがうまくやれる」という気持ちを持っていると良いんじゃないでしょうか。私を真似したとしてもうまくいくとは限らないので、自分なりに「いい方法」を身につけている人のほうが、成果を出しやすいと思います。
自分で考えて動いた結果であれば、うまくいくか、いかないか、どちらに向いても成長につながります。人の意見に従って実践するよりも納得できるはずですし、たとえうまくいかなくても、自分で考えて行動できる人は切り替えが早く対応力もあります。
何らかの課題があって、それをうまくAIで解決するところにあると思います。ただ、どこまでできたら解決という明確な基準というのはありません。AIの進化とともに性能はいくらでも上がっていくので、性能や数値を上げていくことが、仕事の面白さとも言えます。
近年で言えば、画像生成AIでもStable Diffusionのようなクオリティのものがそう簡単に出てくるとは思っていませんでした。今後アンテナを張っておくと良いのは、やはり生成AI系ですね。何ができるようになっていくのか知っておくと、将来自分がどの程度のAIをつくれば良いかわかるようになると思います。
これから社会でAIが使われる領域が増えていくと、単純な面白さではなく、実際に自分のつくったものが広く使われていくことに楽しさを感じるのかなとも思います。
学生に伝えたいこと
「今、学校で学んでいることは、今後ずっと役に立ってきます。最新のAI知識はどんどんアップデートしていかなくてはいけませんし、覚えてもすぐに次が登場します。学校で学ぶ内容には、20年先でも役に立つ知識が多いため、きちんと勉強しておくことが重要です。
一方で社会に出て、どういうものをつくれば実際に良い製品になるかは、本当に未知数なことが多いです。だからこそ、技術だけでなく、社会の役に立つものが何なのか、自分で考えていけるエンジニアを目指してください」(HEROZ H.Kさん)
現役AIエンジニアの
未来の予測
AIアシスタントは音声でタスクを自動化したり、情報検索を代行したりすることで、ユーザーの手間を大幅に削減します。ビジネス活用では業務効率化が可能になり、入力ミスといったヒューマンエラーを少なくできるのがメリットです。
AIアシスタントサービス
「HEROZ ASK」
HEROZでは企業向けに生成AIを活用したアシスタントサービス「HEROZ ASK」を提供しています。音声をテキスト化し、社内のデータ検索、要約、翻訳などの業務をサポート。また、グループごとのアクセス権限設定も可能です。
HEROZ ASK上では生成AIの学習利用対策により会話・やりとりが学習されず、組織・ユーザー毎に参照できるデータも設定できるためセキュリティ対策も万全です。さらにプロジェクトごとにパラメータ設定を行い、AIアシスタントの振舞いを制御することもできます。
AIを活用していない
領域への実装
HEROZは、生成AIにおいてAI技術がどのように役立つかを考える団体「Generative AI Japan」に参画しています。
「Generative AI Japan」
現在、ビジネスシーンにおけるAI活用はますます拡大しています。しかし、AI活用の実績が乏しい領域では情報不足が障壁となり、導入に至らないケースも少なくありません。
その背景には、AIへの信頼不足やビジネスシーン活用の情報共有が充分にできていないことがあります。今後のAI技術革新や市場拡大へつなげるためには、こうした課題を解決することが先決です。
HEROZが、AI技術の価値創造を目的とするGenerative AI Japanに参画を決めたのは、「AIで世界を驚かすサービスを創出する」という理念と共通する部分が大きかったためです。
